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平成20年5月

2008. 5.31

釈迦牟尼の地獄に垂らす蜘蛛の糸に犍陀多(カンダタ)涙の貝塚伊吹

薄情な御方にあり釈迦牟尼は 蜘蛛の糸にて人惑はして

犍陀多(カンダタ)を助けてたもれヒラタグモ釈迦が昼寝をしているうちに

2008.5.30

丹人流御守如何につくるやとお尋ねあればここに示さん
用意するは紙布紐に紙ばさみ そして祈れる心なりけり
名刺紙二分の一を縦に置きて祈る心を刻むがよろし
布をこれ菱形に置き中央に祈りを刻むその紙を載せ
紙の端に揃へ合わせて左辺の布を右へと折り返しゆく
右の辺の布を小さく折りながら紙の端に沿ひ折り返しゆく
真下部を持ちて真上に掬ひ上げやや下にずらすがよろしかりけり
左上と右上を中に折り込みて上部少しを折り返しゆく
親指と人差指で上部持ちて崩れぬやふにはさみで押さへ
紐をもてひとつ結びてしつかりと引きてもふひとつ結びて引きぬ
紐の端に玉をつくりてはさみとれば丹人御守 ほれ!出来上がり

2008.5.29

誕生の子の衣装付けドクダミの真白き包に頬擦りをする

ドクダミの上と下とを示しつつ誕生仏となりにけるかも

2008.5.28

名刺紙を二等分して勝の字をカツカツカツと書く三十枚

王法の勝あり顔法の勝もあり布にくるみて作(な)せるお守り

2008.5.27

育ちゆく稲の警備に余念なき黒制服の玉杓子かな

右を見てまた左見て上を見て6の字9の字の玉杓子

玉杓子 毎日見ても玉杓子

2008.5.26

麦を見て秋とおもふやケヤキ葉の色鮮やかに染める五月雨

五月雨の降り残る朝のケヤキ葉の湛へる露の玉ひとしずく

2008.5.25

流れ行く時を書き留むこの帖に歌つくる跡の見へてくるかも

質直と名付けし帖は無印の単行本ノート値は二百円

三百六十八頁なれば一日に一頁書きて年が過ぎゆく

2008.5.24

四九は忌む数にはあらじつめくさの四葉九郎葉だふぞ「よろ四九!」

幸運の四葉九郎葉にくれなゐの都忘れの花を添へゆく

2008.5.22

咲く花に踊りて集ふ人あるも実の色紅に染むも人なし

櫻実の須売流玉(スバルのたま)を寝(やす)めんとギザギザ葉との子守歌かな

毛虫食む櫻葉8の字の穴ゆ見遣る水府の櫻川かな

2008.5.21

夏嵐去りて晴れゆく畠に出れば薄紫の馬鈴薯の花

お春からお夏となりてジャガタラの花 清十郎の菅の笠

久方の光の中にじゃがたらの花見つめれば少年の我

2008.5.20

情熱をかけて作れる常州のメロンきらめく星の輝き

網目なすメロン紋様 練上の松井康成の壺をおもへり

全国一の常州にありて第一と推すは小川のアンデスメロン

2008.5.19

立ち上がる葉間じゃんけんにチョキを出すアヤメの指のむらさきの爪

巻物を解きて開けるあやめ草 欧陽詢の美の文字のごと

五月雨の降るわが庭のあやめ草「雨やめ」早口言葉は「あやめ」 

2008.5.18

古稀迎ふ師に贈る陶 山法師の苞の白こそすがしかりけれ

風光よ共に流転し相賞し相違ふこと莫れとふ杜甫曲江の詩をおもひけり

2008.5.17

ニ尺越ゆる茎くゆらせてタンポポによく似たる花ブタナなりけり

「長き茎もてブタナいでくださいな」口とがらせて注意する花

ブタ殿が食べるや否や知らねどもブタナなればブーブーブーと

ひょーろりと伸びたる花にブタナとふ名は似合はぬと予もおもひけり

ブタナあらためフータナなどは如何なるや風にたなびく風情のあれば

2008.5.16

美しき心讃へん斎戒し沐浴すませ書く感謝状

感謝の意を表はさんとて王羲之の筆意浮かべてしづに書きゆく

2008.5.15

降る雨に楠大木の手を伸ばし皐月香(かぐは)し文化センター

葉を揉みて嗅げば漂ふ樟脳のかほりを雨に流すくすの木

クスの香の鼻くすぐりてクスクスと笑へばシャワーもしゃわーせ(幸せ)にあり

クスノキに栗の三つをいただきて御礼の言葉はサンクスにあり

足裏の怪我いたいたし順調な回復なればクスとほほゑむ

クス蕾見るは予もまたはじめてのことにしあればしみじみと見る

クスの葉の雨のしずくに洗はれてさみどり色のなお美しく

目に優しさみどり色のクスの葉の心クスクスくすぐりてゆく      

2008.5.14

小満前七日十度の雨の中ワジュロの花の焼きタラコかな

鷲鼻のワジュロの花の手招きに我近づきてジュロジュロと見る

2008.5.13

母の日を過ぎておもへり鉄線の淡紫の母好めるを

裏白き萼やはらかにひとつづつ開くを見たり日暮れ待ちつつ

ちらほらと散るむらさきの鉄線に遠き日の夢乗せてゆくかも

クレマチス誰待つでなし暮れ待ちす

2008.5.12

木の上に羽を休める白鷺の木蓮の花咲かすごとくに

白鷺に混じりて燕尾服纏ひメタボリツクな五位鷺のをり

白鷺に大鷺中鷺小鷺また亜麻鷺あるとふ さてこれは何?

2008.5.11

青年の家標札の依頼ありていざ揮毫せん今日のよき日に

板なればただ一発の勝負にて心定めて筆すすめ行く

横一尺縦五尺なるこの札に今日のいのちを刻み終へたり

大のみがよしとおもはじ小もまた蕭蕭(しやふしやふ)として班馬鳴(いなな)く

2008.5.10

春過ぎて夏来たるらし白妙の衣なびかせ木苺の花

手間いらずベリーグッドと囁けば左手を振る花ラズベリー 

2008.5. 9

わが屋戸の扉の上にあかあかとベニカミキリのはにかみてをり

ベニカミキリの足触角の黒くして扉の中ゆ生まれ出づるや  

2008.5. 8

この庭に咲く野の花の伸びゆけば詫びつつ取れる我にあるかな

取りゆくは
野芥子(ノゲシ)
野苦菜(ノニガナ)
仏の座
繁縷(ハコベ)
蒲公英(タンポポ)
姫紫苑(ヒメジオン)
母子草
また
片喰(カタバミ)の花

イエローのハートハートのカタバミを引き抜く我ぞ 「はーど」ふしやふ

2008.5. 7

ほくほくと緑ふくらむ小山寺の塔見むと我が心ふくらむ

小山寺の山号「富谷山」とおもへども楼門額は「施無畏山」なり

本堂の深き丹色を引き立てて白すがすがし小山寺の塔

初夏の富谷の山ゆ見渡せば加波と筑波の昼寝するごと

2008.5. 6

高浜の入を右手に見遣りつつ大橋越へて行く歩崎

かへり見る行方(なめかた)の丘のみどり淡く歩みの先の養魚場かな

2008.5. 5

鷲子(とりのこ)の緑の波に洗はれて安養閣のすがしかりけり

福禄を取り残さんと鷲子のニ九六(ふくろう)の段いま上りゆく

2008.5. 4

みどりの日迎へんとする常澄のどこまで淡き夕暮れの色

水張れる田を均(なら)しゆくトラクターに色を重ねて夫婦見守る

雲覆ふ五月三日の常澄の駅より見遣る西空の色

2008.5. 3

加護あれと玉に籠もれる親心一杯に吸ひ鯉上りゆく

皐月雲払ひて泳ぐ鯉幟

五月空泳ぐ真鯉の鱗見れば宝珠ありまた宝船あり

2008.5. 2

ほんのりと家路を照らす西の日の色やさしくて歩み停めぬ

落日は三分間の前座にて夜の舞台の幕開きゆく

2008.5. 1

蒲公英の綿毛二つの寄り添ひて飛び立つまでの時をいとしむ

点々と春野照らせるタンポポの綿毛のごとく見ゆる西の陽


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