« 平成19年11月 | トップページ | 平成20年1月 »

平成19年12月

2007.12.31

鐘楼のかげ黒くして澄む空の桜の枝に年降りてゆく
寒風に耐へて幹苔あをあをと大つごもりの陽の射すを待つ
四苦八苦して撞く鐘を幸せの鐘にしたきとこそおもひけれ

遠けれど心は近き人々を照らし給ふか今日の落日

2007.12.30

阿久悠氏の詩の心に沁みて詠める
         
人の世の
「夢は砕けて夢と知り
 愛は破れて愛と知り
 時は流れて時と知り
 友は別れて友と知り」
知りてはじまるあらたしきもの

 反歌
砕け散り破れ流るる人の世を知りてなを持つ夢にあるかな

この言葉蛇足と知れば雷音の空を覆ひて雨の打ち降る

2007.12.29

秘めもてる夢追ひかける君なれば贈る言葉は一つ「負けないで」
爽やかな風を残していづみ水流れ去る五月二十八日
健自偉氏の時代の旗手と讃へたる姫は泉水菩薩となりぬ
天上ゆ地を這ふ人に「負けないで」と歌ふ菩薩のありがたきかな

2007.12.28

気に入らぬ文字はあれども書き損じなく宛名書き終へるすがしさ
「様」の字の「林」のごとく変はり行きて囃子(はやし)トトンと聞こへくるかも

様々に「様」変はりゆく賀状かな

あたたかきことばひとつにかはりゆくひとのこころのをかしかりけり

2007.12.26

オキザリス・ベルシコロール未の刻の陽に頬寄せてほの開きゐる
快晴にあれど吹く風冷たくて竦(すく)める首に赤いマフラー
原産は南米といふオキザリス花なき庭の冬をいろどる

 「赤いマフラー」とふ槇原敬之の歌をききて詠める
幸せを祈る人あり伝へたきおもひ包める赤いマフラー

2007.12.25

年の瀬の空のあをさを身にまとひ流るる那珂の水の静けさ
那珂川を上りいのちを産みて逝くサケ讃へたる年の瀬の光(かげ)
那珂の瀬の流れ追ひ越し年の瀬を越へて翔び行く白鳥百八

2007.12.23

冬至雨に澄める水面の水玉のすめらみことの日を祝ふごと

盃を三つ並べたり天長節

2007.12.22

柚子が香をまとひて庭に出てみれば万年青(おもと)波打つ葉に冬至雨

闇長き冬至の夜の雨の音

2007.12.19

冬空を澄みし光の音もなく流れ彩る時を楽しむ

年暮れて怒濤のごときイルミかな

2007.12.17

この庭の零下三度の朝白く立つ桜草 春を夢見る
この庭の池の面に張る薄氷に朝の光のとけてゆくかも

2007.12.13

言ふは易し為すは難しとおもへども人偏書けば信と偽となり
人為すはいつの世なれど「偽」にあらば なにもこの年だけの字でなく

2007.12.11

杉並木街道沿ひの水無に湧水庵とふ蕎麦処あり
五合そば二千四百円かきあげは百円 あはせて二千五百円
水無といへど水湧くこの池に泳ぐひごいのうつくしきかな

2007.12.10

神橋の擬宝珠に夜を残しつつ雲に紅さす日の光かな
大谷(だいや)川に沿ひて歩みをすすめれば二荒(ふたら)の山はあけぼのの色

あら尊(たふと)二荒の雪に日の光

2007.12. 6

音もなく落ち葉散り浮く大日の池裂きてゆく大木の影
水底を泳ぐ緋鯉のくれなゐの色沈ませて水面さざめく

大日の鯉 悠然と冬の池

2007.12. 4

師走日に赤く咲き初むカクタスは まるで寒さを楽しむやふに
カクタスの金魚となりてヒラヒラと泳ぐや師走四日午後二時
デンマークカクタスといふクリスマスカクタスといふシャコバサボテン

2007.12. 2

金色の鳥なる銀杏の散り果てて木は軽々と天を指したり
真直に伸びる銀杏の木の間より右に左に見る落葉かな

師走二日銀杏落葉の昼寝かな


« 平成19年11月 | トップページ | 平成20年1月 »